肺炎で3週間の入院

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「ポタッ、ポタツ、ポタッ」

針の先からしずくが落ちる。

腕の中にはあゆむがいる。

「ポタッ、ポタッ、ポタッ」

1時間に40ミリリットルのスピード。

「ポタン、ポタン、ポタッ」


時刻は午前3時。ビニールの袋の中には200ミリリットル残っているから、この点滴が終わるのは…。朝の8時か。窓の外に、丘の上の浄水場が見える。丘のふもとから自動車が坂を上っていく。ひときわヘッドライトが明るく輝く。

「ポタツ、ポタン、ポタッ」

あゆむはようやく浅い眠りに着いたところだ。肺炎になり、38度の熱が続いていて、肩で息をしている。本当につらそう。ベッドに寝かすとすぐに目を覚ましてしまいそうで、少し落ち着いていることだし、このままもうしばらく抱いていよう。

「ポタッ、ポタッ、ポタッ」

それにしても、こんなことでこれから先やっていけるのだろうか?肺炎が良くなっても、また別の病気にかからないともいえない。こんなに体の弱い子なんだから、保育園は無理なのかなあ…。仕事辞めて、あゆむにしっかり付き合う人生もあるかもなあ。別に仕事では、自分の代わりがいないわけでもなし…。

「ポタッ、ポタッ、ポタッ」

針の先からしずくが落ちる。

1時間に40ミリリットルのスピード。

腕の中のあゆむは、穏やかな寝顔。


高熱に咳が続き、ミルクを飲んでもすべてもどしてしまうあゆむは、誰が見ても本当に可哀そうで、痛々しく、この闘病生活でなんと体重を1kgも減らした。もとが7kgからの減だから、あゆむの体にかかった負担は相当のものだっただろう。

午前3時の病室で点滴の針を眺めながら、考えたことは、その時点での正直な気持ちだった。肩で息をしながら、ようやく眠りについた子どもの顔を見ていたら、誰だって、仕事よりも大切なものがあることを確信する。

結局、あゆむの入院生活は、間に数日の退院を挟み、都合3週間におよんだ。入院中は、基本的に妻が病院に泊まりこみ、 自分は家と職場と病院の往復をくりかえした。そして何日かは 役割を交代して、ときに妻が仕事に出た。

さらに、こんな大変なさなかにもかかわらず、自分自身、風邪で高熱を出しダウンしてしまう始末。両方の親はもちろんのこと、兄弟、従兄弟、伯母、果ては近所のおばさんまで、頼めるところにはすべて頼んで、何とか乗り切った。当然職場、とりわけ妻の職場には大きな迷惑をかけることになった。

そんなこんなを乗り越えて、あゆむは、数日の自宅療養期間を経て保育園に復帰した。妻は3週間のブランクを埋めるべく、休日返上で14日間連続で出勤し、必死で仕事に打ち込んでいる。自分はというと、なかなか仕事のペースが掴みきれず四苦八苦しているのだが、今回の入院騒ぎで良かったこともあった。

これまで利用していた「部分休業制度」に加え、「育児のための特別休暇」「子どもの看護のための特別休暇」、さらには、健康保険組合から差額ベッド代の半額給付まで受けられることがわかった。これらは自分のことを心配して、職場の人が調べて教えてくれたものだが、その他にも仕事面でのフォローもありがたかった。

それにしても、子どもを抱えた家庭では、どこも似たような経験をしてきているのでしょうか。みなさんの子育てはどんなですか?やっぱり入院の1つや2つは当たり前に乗り越えてきているのでしょうか。

そうやって丈夫になっていく?のかなあ?? 健康って、ほんっっと、大事ですね(反省を込めて)。